あまつみづ

世に天と地あり
地に綿津見と陸処がありて
魂ぢはふ神の命の思ほせし給ひしゆゑに
天つ日のもとに成りたる
千万の万の霊ら
弥若ちに
弥頻く頻くに
弥増さらゆるを祈ひ祷み
弥立てむ
弥先立つは八重雲を弥高に越え
なほとほき遥けき天の安河
高天原ゆ注かして
天つみづとふ奇をし受けて受くれば
畳なはる青垣山の八重山の
奥処ゆ成れる隠水も注かし給ふ
いで給へ高淤加美神
そのすゑに
万の霊が孕みゐる八十川滾ちみなぎりて
瀬瀬に八十瀬に
いで給へ闇淤加美神
おしなめてたゞひとつなる
稲筵川とふ広瀬
世に集ふ霊らを統ぶるみづなれば
飢うるも病むも栄かゆるも
え違はざらむ
おしなめて霊は万の霊のむた
なればや
成れよ
成りたらば
増されよ
増さらば
生ひ立てよ
御稲よ来る秋の日に
くがねに垂る穂末にそ
干ひばいで降らまくほしや
沾ちばいで止まゝくほしや
天のまにまに祈ひ祷むを
宥むればいで
あが言霊を

忽ちに天つみづ、よきみづ、甘きみづ
久方の雨降らしむれまた止ましむれ

斎瓮を据ゑ斎榊振りて振り振る
勾玉に懸け言挙げを狂ほさゆるまで




      
<<