遠くの灯り1つひとつの下に、人々が確かに息づき、日々を営んでいる。...そんな、ささやかな感慨こそが、自身が生きていることを何よりも雄弁に裏付けてくれているのかも知れません。そしてまた、改めて
「それらを糧に歌を詠んでいこう」
 と、それだけを何度も何度も、噛み締めるように思っていました。

 知らざるは いづくゆ来ては
 いづくへと 行くものなれど
 こに在りて こに在るゆゑに
 歌ふのみ 空蝉の人
 息の緒は まくなぎをする
 ごときとき それよきものか
 しがゝつも あに願へやも
 いにしへゆ 人ふさ在りし
 うへにあれ 在りうればまた
 あれならむ あれならまくほし
 のち生るゝ 人らが立ちて
 ゆきてゆく 玉鉾の道
 その土に あれにあるもの
 こにそある とふことかぎり
 あれ沁みて ゐらるゝものは
 世はうまし とふことかぎり
 そのかぎりにて
 
 あれはあれのまに/\あらむ あれなほあれに
 ありゐるを祝かむ、祝ゆるとふこと祝かむ

 神斎く嶋の奇びそうむがしきものか
 いでまたも人らに奇び賜はせ給へ   遼川るか
 (於:新幹線ひかり車内)

   

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 本稿を書くにあたり、参考にさせて戴いた文献を以下に記します。

・万葉集関連
 「万葉集検索データベース・ソフト」 (山口大学)
 「萬葉集」(1)〜(4) 高木市之助ほか 校注 (岩波日本古典文学大系)
 「新編国歌大観準拠 万葉集」上・下 伊藤博 校注 (角川文庫)
 「新訓 万葉集」上・下 佐々木信綱 編 (岩波書店)
 「万葉集」上・中・下 桜井満 訳注 (旺文社文庫)
 「万葉集ハンドブック」 多田一臣 編 (三省堂)
 「万葉ことば辞典」 青木生子 橋本達雄 監修 (大和書房)
 「万葉集地名歌総覧」 樋口和也 (近代文芸社)
 「万葉集辞典」 中西進 著 (講談社)
 「初期万葉歌の史的背景」 菅野雅雄 著 (和泉書院)
 「古代和歌と祝祭」 森朝男 著 (有精堂出版)
 「万葉集の民俗学」 桜井満 監修 (桜楓社)

・日本書紀
 「日本書紀」上・下 坂本太郎ほか 校注(岩波日本古典文学大系)
 「日本書紀」上・下 宇治谷孟 校註 (講談社学術文庫)

・古事記
 「古事記/上代歌謡」 (小学館日本古典文学全集)
 「新訂 古事記」 武田祐吉 訳注 (角川文庫)

・続日本紀
 「続日本紀 蓬左文庫本」(1)〜(5) (八木書店)
 「続日本紀」青木和夫ほか 校注 (岩波新日本古典文学体系)
 「続日本紀」上・中・下 宇治谷孟 校註 (講談社学術文庫)

・風土記
 「風土記」 秋本吉郎 校注 (岩波日本古典文学大系)

・延喜式
 「延喜式」 虎尾俊哉 著 (吉川弘文館)

・古代歌謡
 「記紀歌謡集」 武田祐吉 校註 (岩波文庫)
 「古代歌謡」 土橋寛・小西甚一 校注(岩波日本文学大系)
 「上代歌謡」 高木市之助 校註 (朝日新聞日本古典選)
 「日本の歌謡」 真鍋昌弘・宮岡薫・永池健二・小野恭靖 編(双文社出版)

・琴歌譜歌謡集
 「琴歌譜新論」 賀古明(風間書房)

・中世歌謡
 「走る女 歌謡の中世から」 馬場光子(筑摩書房)

・上代語
 「古代の声 うた・踊り・ことば・神話」 西郷信綱(朝日選書)

・帝王編年記
 「新訂増補 国史大系」(16) 黒板勝美 編輯(吉川弘文館)

・和歌全般
 「新編国歌大観 CD-ROM」 監修 新編国歌大観編集委員会
                (角川学芸出版)
・21代集
 「二十一代集〔正保版本〕CD-ROM」 (岩波書店 国文学研究資料館データベース)

・古今和歌集
 「古今和歌集」 小沢正夫 校注・訳 (小学館日本古典文学全集)
 「古今和歌集」 小島憲之ほか 校注 (岩波新日本古典文学大系)

・新古今和歌集
 「新古今和歌集」 小島吉雄 校註 (朝日新聞社 日本古典全書)
 「新古今和歌集」 久松潜一ほか 校注 (岩波日本古典文学大系)

・拾遺和歌集
 「拾遺和歌集」 小町谷照彦 校注 (岩波新日本古典文学大系)

・千載和歌集
 「千載和歌集」 片野達郎ほか 校注 (岩波新日本古典文学大系)

・新続古今和歌集
 「新続古今和歌集」 村尾誠一 (明治書院 和歌文学大系)

・後拾遺和歌集
 「後拾遺和歌集」 久保田淳ほか 校注 (岩波新日本古典文学大系)

・平家物語
 「平家物語」 市古貞次 校注 (小学館日本古典文学全集)

・謡曲 竹生島
 「謡曲集」 小山弘志ほか 校注 (小学館日本古典文学全集)
 「謡曲大観」(1)〜(7) 佐成謙太郎 (明治書院)
 「能の事典」 戸井田道三 監修 (三省堂)

・西行
 「山家集」 後藤重郎 校注(新潮日本古典集成)
 「撰集抄」 西尾光一 校注(岩波文庫)
 「西行物語」 桑原博史 全訳注(講談社学術文庫)

・慈円
 「愚管抄」 丸山二郎 校注(岩波文庫)

 ※竹生島縁起は、都久夫須麻神社の栞より孫引き致しました。


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 2004,08,26    竹生島訪問
 2004,09,06〜07  執筆
 2004,09,09     @nifty 文学フォーラム 7番会議室上にて掲載


  ※拙作「わぎもこにあふみゆ〜竹生島」に添えて掲載している写真の一部は、「Sight-
   seeing Japan」さま、「デジタル楽しみ村」さま、「かもめ工房」さまよりお借りして
   います。

                                  遼川るか  拝







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